悪質クレジット被害の救済 改正割賦販売法

自動車、家電製品、呉服、貴金属などの高額商品を、分割払いで購入したことはありませんか。そのクレジット契約の取引ルールが大きく変わります。割賦販売法が改正され12月1日に施行されるからですが、悪質な販売業者にだまされて多額のクレジット契約を結ばされた場合には、後から契約を取消すことができるなど、被害者を救済するためのルールが新たに設けられました。また、消費者がトラブルに巻き込まれないよう、クレジット業者にさまざまな義務を課しています。

クレジット被害の救済手段を充実
 クレジット契約にはさまざまな形態がありますが、ここで紹介するのは、自動車や家電製品などを購入する場合に、店頭などで書類に必要事項を記入し申し込むタイプのクレジット契約です。一般に「個別クレジット」と呼ばれています。クレジットカードのショッピング(包括クレジット)は該当しませんので、注意してください。

 突然訪ねてきた業者に自宅のリフォームを迫られた、モニター料や紹介料が入るといって寝具を大量に買わされたといった消費者被害は後を絶ちません。問題は、こうした悪質商法では代金が非常に高額なため、販売業者等が個別クレジット契約を勧めることが多いことです。消費者も分割払いならと、高額の契約に応じてしまいがちです。

 ところが、モノやサービスの提供を受ける契約と個別クレジット契約は別々の契約なので、手抜き工事をされたり、業者が破綻してサービスが提供されなくなったりしても、クレジット業者が請求を続けることが往々にしてありました。販売業者に責任があった場合は、クレジット代金の請求を拒む「抗弁権」が認められていましたが、すでに支払ってしまったクレジット代金は返還請求することができなかったため、被害者が経済的に大きな損失を被るケースが目立っていました。

 そこで、経済産業省は割賦販売法を改正し、まず、登録制を導入し、個別クレジット業者に対する監督を強化。そのうえで、とくにトラブルの多い販売形態の場合には、消費者にさまざまな権利を与え、被害者の救済が容易にできるようにしたのです。

トラブルの多い取引形態が対象
対象になるのは、

1.訪問販売
2.電話勧誘販売
3.特定継続的役務提供
4.連鎖販売取引
5.業務提供誘引販売取引

 の5類型です。1にはキャッチセールスやアポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出すもの)も含みます。3は、エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6つのサービスが該当します。4はいわゆるマルチ商法。5は内職商法と呼ばれるもので、仕事を提供するので収入が得られると誘って、仕事に必要だからと商品等を売りつけるものです。なお、通常の店舗販売や通信販売には、以下の取引ルールは適用されません。

消費者に与えられた3つの権利
 この5類型で個別クレジットを利用した場合、第1の権利として、消費者は個別クレジット契約をクーリング・オフできるようになります。従来もできなくはなかったのですが、割賦販売法にはクレジット契約に関するクーリング・オフの規定がなかったので、今回の改正で明文化されたのです。

 クーリング・オフは冷静に再考したうえで必要なかったと判断した場合などに、無条件で契約を解約できる権利です。すでに支払ったクレジット代金も戻ってきます。個別クレジット契約をクーリング・オフすれば、同時に販売契約等も解約されます。

 ただし、クーリング・オフできるのは、契約後8日間(4と5の取引は20日間)に限られているので注意してください。

 第2の権利は「過量販売」における個別クレジット契約の解除権(または申込みの撤回)です。過量販売は通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約やサービスの提供契約を意味します。何が過量販売に相当するかは、商品・サービスの種類や購入者の事情によっても異なるため、個別ケースごとの判断になります(訪問販売協会が基準を設ける予定)。

 解除ができるのは、契約後1年間です。契約が解除されれば、クーリング・オフと同様に、既に払ったクレジット代金を取り戻すことができます。しかし、クーリング・オフとは異なり、個別クレジット契約を解除しても連動して販売契約等も解除されるわけではないので、同時に販売業者等に対して販売契約等の解除を行う必要があります。

 第3の権利は販売業者等に不正行為があった場合の取消権です。不正行為にはさまざまな類型がありますが、販売業者等が個別クレジット契約の勧誘を行うに際して、個別クレジット契約の内容(支払総額、支払い回数など)や商品の品質・性能等の販売契約に関する重要事項について、嘘をつく(不実の告知)、消費者にとって不利な事実があってもわざと言わない(不告知)、脅迫まがいに契約を迫る(威迫・困惑)、クーリング・オフを妨害する、などの行為を行ったと認められれば契約を取消せるようになります。やはり、すでに支払ったクレジット代金は返ってきます。

 この取消権は、消費者が取消し原因を知り、かつ取消権を行使できる状態になった時から6ヵ月間、あるいは個別クレジット契約締結字から5年間は行使することができます(期限を過ぎると時効で権利が消滅)。

権利の適用範囲も大幅に拡大
 さらに、重要なポイントは、「指定商品制」が撤廃され、こうした権利が原則として、すべての商品・サービスを対象に認められるようになった点です。ただし、金融商品など取引ルールを定めた別の法律がある場合は、対象外です。また、クーリング・オフは乗用自動車、葬儀、化粧品・健康食品などには適用されません。

 また、消費者の権利が適用される個別クレジット契約の範囲も拡大され、期間が2カ月を超えものであれば行使できるようになります。

チェックシートで不正の有無を確認
 一方、個別クレジット業者に対してもさまざまな規制が設けられました。悪質な販売業者等による被害を防止するために、不正な勧誘販売行為や過量販売における個別クレジット契約が禁止されたほか、加盟店調査などの義務が課せられました。

 消費者にとって大きく変わるのは、個別クレジット契約の申込時に、「勧誘方法等確認のお願い」などと題された書類を渡され、後日個別クレジット会社から電話等で連絡が入るようになることです。この書類は不正がなかったかどうかを確認するためのチェックシートです。捨てたりせず、これを見ながら個別クレジット会社の質問に答えるようにして下さい。

訪問販売業者には「再勧誘禁止」規定が
 このように、個別クレジット契約の新しいルールでは、被害者の救済手段がかなり充実されます。しかし、被害に合わないようにすることが一番なのはいうまでもありません。

 割賦販売法と同時に改正された特定商取引法では、訪問販売業者は12月から、「契約を締結しない旨の意思」を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることができなくなります(再勧誘の禁止)。

 こうした制度があることを知り、実際に役立てることも、クレジットトラブルの防止に役立つでしょう。

(社)金融財政事情研究会
月刊 消費者信用
編集長 浅見 淳
内容の間違い/リンク切れ/コメント等ありましたらお寄せください_文責: ピンチ救済委員会 at 07:06 | 【 クレジットカード 】
もっと詳しく知りたい場合は、青文字メニューから参照してください。